日本・東京商工会議所から、「働き方改革関連法への準備状況等に関する調査」が発表されました。2019年度から順次施行される働き方改革関連法に関して、中小企業の認知度や準備状況などを把握するために行われた調査です。
●まだまだ低い働き方改革への対応
この調査は、全国の中小企業2,881社を対象に、2018年10月22日から12月3日にかけて行われたものです。
その内容の一部を見ていきましょう。
まずは以下の項目で、「対応済・対応の目途が付いている」と回答した企業の割合は次のような結果でした。
・時間外労働の上限規制:45.9%
・年次有給休暇の取得義務化:44.0%
・同一労働同一賃金:31.0%
いずれも低い割合となっており、未対応の企業が多いことがうかがえます。
このように、働き方改革への対応ができていない理由として、そもそも働き方改革関連法を知らないことや、理解できてい
ない企業が多いことが挙げられます。
各法律の内容について、「知らない」と回答した企業の割合は次のとおりです。
・時間外労働の上限規制:39.3%
・年次有給休暇の取得義務化:24.3%
・同一労働同一賃金:47.8%
各法律の施行時期についても、「知らない」と回答した企業の割合は次のとおりです。
・時間外労働の上限規制:33.7%
・年次有給休暇の取得義務化:23.5%
・同一労働同一賃金:49.6%
法律の認知度は、従業員規模の小さい企業ほど低くなっているため、今後は、小規模企業への認知度をいかに上げていくかが課題となりそうです。当面、4月より施行となった「年次有給休暇の取得義務化」について知らなかったということがないよう、周知が求められるところでしょう。
●人手不足を理由に改革を止めてはいけない
「時間外労働の上限規制」や「年次有給休暇の取得義務化」への対応についての課題としては、次のような回答が上位を占めています。
・業務量に対して人員が不足している
・年末年始や年度末など特定の時期に業務が過度に集中する
・組織間・個人間で業務量にムラがあり、特定の社員に業務が集中する
・取引先からの短納期要請や急な仕様変更等への対応
中小企業は業種を問わず人手不足のケースが多く、業務量がキャパシティを超えている現状を考えると、休暇を増やすことや、残業を減らすことは困難かもしれません。
とはいえ、何も手を打たなければ働き方の問題は解決しません。人手不足解消のために、女性や高齢者、外国人などの労働力を活用することはもちろん、合理化できていない業務があれば見直すなども必要でしょう。これまで当たり前だと思っていたことを含め、思い切って見直す意識も求められます。
限られた労働力の中で、働き方改革関連法に対応することは難しいかもしれません。しかし、対応できていない職場環境では従業員が定着せず離職者も増えます。それが業績悪化につながり、負のスパイラルに陥る可能性さえもあります。
働き方改革関連法への対応ができていない企業は、準備不足を真摯に受け止め、すぐにでも課題に取り組み、万全の態勢を整えたいものです。