育児休業の取得には職場の理解に加え、取得中の家計収支も大切なポイントです。育児休業期間中に社会保険料が免除される制度もありますが、休業のタイミング次第で免除対象とならないケースも存在します。この制度上のネックについて、来年10月から改正される予定です。どのような点が変わるのでしょうか?
●月内2週間以上の育児休業が免除の対象に
育児休業に関する社会保険料免除の対象は、現行の制度では育児休業開始日の属する月から、育児休業終了日の翌日が属する月の前月までとなっています。言い換えれば育児休業期間に月の末日が含まれない限り、その月の社会保険料は免除されません。したがって月初1日から27日までといった、末日を含まない育児休業の取り方では免除とならず、利用者にとって使い勝手の悪さが問題視されていました。
上記について健康保険法・厚生年金保険法の改正が行われ、2022年10月から育児休業の社会保険料免除となる対象が変更されます。具体的には月内2週間以上の育児休業を取得した場合、当該月の保険料を免除するという内容が追加となります。2週間以上の期間要件はあるものの、休業のタイミングによる免除有無の差が解消されるため、改正後は短期の育児休業を取得するケースが増えるかもしれません。
●賞与にかかる社会保険料免除も改正されることに注意
他の改正点では、賞与にかかる社会保険料について、1か月を超える育児休業を取得している場合のみ免除対象となります。現行では賞与分の社会保険料免除を受けるため、賞与支給月の月末に育児休業を取るケースも見られましたが、改正後は1か月未満の育児休業では免除とならないことに注意が必要です。
今回の改正によって、社会保険料免除という観点では、月末のタイミングに合わせ育児休業を取ることの意味合いが薄れます。そのため出産予定日が月初であったり、業務が月末に忙しくなるような場合でも、より実情に合った休業の取り方ができるでしょう。
以上の社会保険料免除や雇用保険の育児休業給付など、制度面ではある程度のフォローがあるものの、実際に育児休業を取るためには職場の理解が不可欠です。業務の引き継ぎや復帰後の立場に対する不安から、積極的に制度を利用できない人は少なくありません。制度そのものの使い勝手はもちろん、それを利用するのが当たり前という、社会全体の価値観が醸成されることも強く望まれます。