お知らせ
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作成日:2022/11/16
節税を目的とした保険の規制で監督官庁が連携を強化



節税を目的とした保険募集への規制が強まる中、各保険会社は規制を越えない商品開発や販売の課題と向き合っています。複雑化するルールの運用には監督官庁が連携を取ることも重要ですが、どのような体制で保険会社への対応が行われるのでしょうか?

 

●節税スキームに対する金融庁と国税庁の情報共有が図られる

法人向け生命保険の取扱いについて近年は改正が相次ぎ、税制面から規制が強まっています。直近では以下の通達が改正されました。

令和元年6月…定期保険および第三分野保険の保険料に関する法人税基本通達

令和3年6月…生命保険契約の権利評価に関する通達(名義変更プランへの対応)

 

 これにより損金算入の割合が制限されるなど、節税効果を前面に出した保険販売が難しくなっています。とはいえ今後新たな節税スキームが展開される可能性も考えられ、監督官庁である金融庁および国税庁の立場としては、そのような動きを事前にキャッチしておきたいところでしょう。

 令和4年7月に金融庁から発表された「節税(租税回避)を主たる目的として販売される保険商品への対応における国税庁との更なる連携強化について」というリリースによると、商品審査とモニタリングの2段階で、両庁の積極的な情報共有が図られるようです。

 

●商品審査段階とモニタリング段階それぞれの取組み

 上記のリリースでは「保険本来の趣旨を逸脱するような商品開発や募集活動」を改めて問題視し、以下の取組みを通じてより一層の保険契約者保護を図ることを示しています。

 

<商品審査段階>

(1)金融庁から保険会社に対して、国税庁への税務に関する事前照会を慫慂※

※慫慂(しょうよう)…そうするように強く勧めること

(2)保険会社から同意を得た上で、必要に応じて金融庁からも国税庁に事前照会を実施

(3)金融庁において、事前照会の結果を商品審査で参考情報として活用(事業方法書への募集管理態勢に関する記載の指導等)

 

<モニタリング段階>

(1)両庁の定期的な意見交換の場等を通じて、国税庁から金融庁に対して、保険商品に関する節税(租税回避)スキームの情報提供

(2)金融庁において、国税庁からの情報や独自に把握した情報を活用し、保険会社・保険代理店における募集管理態勢の整備状況や販売実態等のモニタリング等を実施

(3)金融庁から国税庁に対して、商品開発や募集現場で利用されるスキームの情報提供

 

 生命保険は税制面の優遇もメリットの一つですが、特に法人分野で租税回避と見られる動きに対して、両庁は厳しい態度で臨むことが読み取れます。保険会社としては営業成績との兼ね合いで、舵取りが難しくなっていますが、販売体制の再構築を含めて各社の動向が注目されます。

 

【参照】金融庁「国税庁との更なる連携強化について」

https://www.fsa.go.jp/news/r4/hoken/20220714-2/01.pdf

 

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