お知らせ
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作成日:2023/03/01
過去最大の引き上げが行われた最低賃金の留意点



 近年引上げのニュースをよく耳にする最低賃金は、時間給で働く人の大きな関心事と言えます。最低賃金の引上げは労働者にとって歓迎すべきことである一方、社会保険との関係など留意しなくてはならない点もあります。いくつかポイントを整理しましょう。
 
●直近の全国平均は961円
 最低賃金制度とは、法律に基づき国が賃金(時間額)の最低限度を定め、使用者がその最低賃金額以上の賃金を支払うことを義務付けたものです。仮に最低賃金額より低い賃金を労使合意で定めても、それは法律によって無効とされ、使用者は最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。また地域や産業によって定められた最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合、罰金が科せられることもあるため注意が必要です。
この最低賃金について直近で過去最大の引上げが行われ、令和4年10月より全国平均で961円となりました。都道府県別では1,072円(東京都)から853円(青森県、沖縄県など)と、200円ほどの幅があります。20年前の全国平均が663円だったことを考えれば、着実な前進と言えるでしょう。
自分の給料が最低賃金を上回っているかどうかは、時間給制で働く人(パートタイマー、アルバイトなど)にとってチェックが容易です。しかし月給制で働く人の場合、月給を時間給に換算する際、計算基準となる月給の金額から通勤手当や時間外手当を除外する必要があります。また派遣労働者の最低賃金は、派遣元事業場の所在地ではなく、派遣先事業場の所在地である都道府県の最低賃金が適用されることもポイントです。
 
●社会保険料の負担が増えるケースも?
最低賃金の引き上げに伴い固定給が増えた場合、天引きされる社会保険料も多くなる可能性があります。パートタイマーやアルバイトについては、令和4年10月より社会保険の適用が拡大され、以下の要件を満たす人が被保険者に加わることとなりました。
・従業員101人以上の事業場で週所定労働時間が20時間以上
・月額賃金が88,000円以上
・2か月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない
 
手取り額を重視すれば社会保険料の負担はマイナスとも取れますが、将来的には年金が増えるなどメリットも存在します。そのほか最低賃金引き上げの影響が考えられるのは「130万円の壁」で、上記の加入要件を満たさなくても年収130万円以上だと、社会保険の被保険者となる可能性があります。特に配偶者の社会保険の扶養に入っている場合、そこから外れて手取りが減るのは死活問題かもしれません。
 近頃の物価上昇も鑑みて、毎月の生活費をいかにやり繰りしていくかは重要なテーマです。時間給で働く人は収入ベース増加のためにシフトを増やすか、社会保険料を支払わなくて良い程度の水準にセーブするか、判断を迫られる場面が多くなることも考えられます。
 
【参照】地域別最低賃金の全国一覧(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
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